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いきなりですが、みなさんは、「インサイト」という言葉を聞いたことはありますか?
マーケティング用語として、「インサイト」はよく聞かれる言葉です。
しかし、「インサイト」はよく使われるわりに、意味が理解されにくい言葉でもあります。
そこでこの記事では、ブログを始めたばかりのあなた向けて、マーケティングのインサイトについてやさしく解説します!
- そもそも、インサイトって何?
- インサイトはマーケティングでどのように役立つの?
- 具体的に、どうやってインサイトを活用できるの?
という、全く知識の無い初心者の方にもわかるよう、簡単にお伝えしていきます。
インサイトとは、人を動かす隠れた心理!
インサイトは、直訳すると「洞察」「本質を見抜く」という意味です。
マーケティングの分野においては、「消費者の隠れた心理」を表す言葉として一般的に用いられます。
顧客インサイトや消費者インサイトと呼ばれることもあり、顧客自身も気づいていない動機や本音を表す言葉です。
様々な購買行動の根底にある要因がインサイトであり、それらを探り当てることが商品開発やサービスの提供において重視されています。
ニーズとの違い
インサイトとよく似た言葉に、ニーズというものがあります。ニーズは「欲求」「需要」などを意味する言葉であり、顕在化しているものです。
そのため、インタビューやヒアリングなどで比較的見つけやすいといえるでしょう。
一方、インサイトは顧客本人も気づいていないものであるため、簡単には見つけられないといった傾向があります。
インサイトが注目される理由
インサイトがマーケティング分野において注目されている背景には、顧客の顕在化したニーズを追い求めているだけではマーケティングの成果につながりづらいという実情があります。
高品質で手頃な価格の商品やサービスが当たり前になっている昨今、顧客自身が商品やサービスを選んだ理由や選ばなかった理由を明確にすることは困難です。
また、機能面や品質面をアピールするだけでは、顧客の購買意欲を大きく高めることにはつながらないでしょう。
機能や品質が均質化されている状況下で、顧客は商品やサービスを通じて得られる「価値」や「体験」をより重視しています。
そのため、顧客が置かれている状況を把握し、何を本当に必要としているのかを探るためにインサイトを見つけていく必要があるのです。
インサイトを見つける方法
インサイトを見つけるためには、データ収集・データ分析・フレームワークの活用などを段階的に取り組んでいく必要があります。
あとから効果測定を行うためにも、データに基づいた取り組みを行っていくことが大切です。
ここでは、それぞれのステップにおけるポイントを解説します。
データ収集は定量的・定性的な情報収集が大事
インサイトを明らかにするためには、定量的・定性的な情報が必要です。
「定量的」とは、数値で表せるデータのことです。具体的にはアンケート結果やWebサイトのアクセス履歴などのことを指します。定量的なデータは、全体の傾向を把握するのに役立ちます。
一方、「定性的」とは、感情や心情など、数値で表しにくいデータのことです。定性データを集める際は、グループインタビューや、一対一のインタビューを通じて、複数人のサンプルを集めることが重要です。一人の意見では結果が偏ることがあるので注意しましょう。
データ分析ではツールを活用しよう
収集したデータ量が多ければ多いほど精度の高い分析を行うことができますが、膨大なデータを手動で分析することは大変な作業でもあります。必要に応じて分析ツールを使い、作業を効率化していくことが大切です。
おもな分析ツールとしては、アクセス解析ツールやCDP(カスタマーデータプラットフォーム)、プライベートDMP(データマネジメントプラットフォーム)などが挙げられます。データは日々更新されていくので、定期的に分析を行うことが重要です。
フレームワークを使ってインサイトを見える化しよう
インサイトの「見える化」には、ペルソナ設定と共感マップの作成が有効です。
ペルソナとは、仮想の顧客の属性や情報を細かく設定することで、顧客目線で商品やサービスなどを検討するのに役立ちます。
年齢、性別、住まい、職業、年収、価値観、家族構成など、より現実味のある情報を細かく設定していきます。
共感マップとは、ターゲットユーザーが置かれている状況や思考を図でまとめたものです。
【共感マップの要素】
- Think And Feel(考えていること・感じていること)
- See(見ていること)
- Hear(聞いていること)
- Say And Do(言っていること・行動)
- Pain(傷み・ストレス)
- Gain(得られるもの)
ペルソナと同じように活用できますが、共感マップの方が、よりユーザーの内面に着目したフレームワークといえます。
共感マップは、顧客の課題や欲求に対するアプローチ方法を考える際に有用です。
共感マップはペルソナ視点で感情や行動を整理しますが、図によって一目でペルソナ視点を俯瞰できるので、インサイトのより深い理解に繋がるでしょう。
事例から見る、インサイトを探るポイント
インサイトは抽象的な概念なので、理解しにくい面もあるでしょう。ここからは、企業によるインサイトの活用事例を紹介します。
1. 新しい価値観を明示した「Think small」
「Think small(小さいことは理想的)」は、フォルクスワーゲンがアメリカへ進出する際に打ち出したコンセプトです。
実際にキャッチコピーとして銘打たれたものですが、当時大型車が主流だったアメリカの自動車市場に「小型車」という価値を提示する画期的なものでした。
アメリカ社会には “Bigger is better.(大きいことはいいことだ)”という価値観が存在します。当然のことながら、車も「大きい方が良い」という思い込みがありました。
しかし、アメリカの平均的な家族の人数は3人程度であり、必ずしも大型車が必要というわけではありませんでした。
「Think small」というコンセプトは、アメリカの実情に沿っていたため、大きな反響に繋がりました。
「小さくても家族が乗れれば問題ない」というインサイトの発見事例です。
2. 健康志向とプレミアム感を両立したインスタントラーメン
日本人に馴染みのある日清食品のカップヌードルにも、インサイトの活用事例があります。
カップヌードルといえば、一般的には若者が食べるイメージがあります。
しかし、高齢化が進む日本ではシニア層へのアプローチも重要な課題です。そこでターゲットとなったのが、「アクティブシニア」と呼ばれるユーザー層です。
アクティブシニアとは、新しいモノや情報発信に積極的なシニア層を指します。
このユーザー層に向けた商品は健康志向のものが中心ですが、「健康志向でありながら美味しさも諦めたくない」というインサイトを発見しました。
その結果、プレミアム感があり、健康志向の「カップヌードルリッチ」が誕生しました。
健康に配慮しつつもフカヒレやスッポンなどで美味しさを追求した商品は、好奇心旺盛なアクティブシニアを見事に捉えました。
3. 商品イメージを塗り替えたヘンケルジャパン
ヘンケルジャパンは、「セルフブリーチ」という言葉が持つイメージの固定化に着目し、インサイトマーケティングに活かしました。
「セルフブリーチ」という言葉が、「高校生の夏休み」「大学の学園祭」などで限定的に使用するユーザーやシーン、金髪などのイメージに固定化されていることに着目した同社は、新たなニーズ創出のために具体的な施策を洗い出していきました。
そして、Instagramのハッシュタグ投稿を足がかりとして、インサイトを探っていく取り組みを行ったのです。
その結果、「#ブリーチオンカラー」で検索すると美容室でのスタイリングが表示され、「#セルフブリーチ」では高校生や大学生という限定された使用者や使用シーンが表示されること、2つのハッシュタグにギャップがあることがわかりました。
そこから同社は、セルフブリーチ剤の投稿にブリーチオンカラーのハッシュタグを付けて投稿すれば、新たなニーズを掘り起こせることに気づいたのです。
セルフブリーチを自己表現として打ち出し、日常的に行うメイクなどの延長線上に商品を位置付けることで、顧客のインサイトに対応した例といえるでしょう。
「セルフブリーチを自己表現として、日常的に行うメイクやファッションなどと同様に行いたい」というインサイトを掘り起こした事例です。
最後に
従来のマーケティングでは、ユーザーの顕在化したニーズに合わせて商品やサービスを提供し、潜在化したニーズを探って次の施策につなげるプロセスが一般的でした。
しかし、消費者の購買行動が多様化し、情報があふれている現代では、ニーズの把握だけでは十分とはいえません。
消費者を丁寧に分析し、心の奥に隠れているインサイトを引き出し、需要を作り出すマーケティング活動が求められています。
インサイトは、消費者心理を理解するカギとなります。自己起点ではなく、顧客起点で考えることを常に心がけましょう。